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大分駅ビル開業のインパクト

2018年10月19日

2015年4月、店舗・ホテル・シネコン等からなるJR大分駅ビルが開業しました。総事業費(見込額)は約150~200億円で、当初目標は年間売上げ200億円、年間来客数1,100万人でした。これに対し、開業1年目の売上高は約230億円、来客数は約2,500万人、2年目の売上高は約223億円、来客数は約2,221万人で、1・2年目とも目標を大きく上回りました。また、3年目の売上高は約233億円で過去最高、来客数は約2,266万で対前年+45万人を記録しました。全般的に消費が伸び悩む中、このように大分駅ビルの業績は極めて順調に推移しています。「黒船来航」に例え、駅ビル進出に大きな不安を抱いていた周辺の既存商店街も総じて業績は好調に推移し、「空き店舗はでても、すぐに埋まる」、「出店意欲が増している」などとバブル崩壊後は見られなかった明るい表情を取り戻しつつあります。また、客層が駅ビルと重なる郊外の大型店舗も売上げ減少は想定内に収まっています。

 

このように駅ビル開業は大分市中心市街地に大きな集客効果をもたらし、他の商店街や郊外の大規模店舗には開業前に心配されたようなマイナスの影響を及ぼしていないことが伺えます。なぜこのようになったかというと、①東九州自動車道の開通により、宮崎県や福岡県方面の商圏が広がったこと、②今まで福岡市の天神や博多に流れていた顧客の流出に歯止めがかかったこと、③駅ビル開業に伴い周辺には分譲マンションの建設が相次ぎ、今では大分駅周辺が県内一の人口増加エリアとなっていること、④施設が中心市街地や居住地に近く、「日常使いされている」こと、⑤映画館や飲食店などがけん引し、幅広い年齢層を集客していること、⑥中心部に存するにもかかわらず、十分な駐車場が整備されていること等の影響が大きいと考えられます。

 

駅ビル開業は既存商店街の店舗構成にも大きな変化をもたらしています。駅ビルに一番近い商店街「セントポルタ中央町」では、飲食店の比率が大きく増し、物販店舗の比率が大きく減少しました。特に駅ビル開業後の2年間で物販店舗は約23%も減少しています。これは、従来の物販店舗は駅ビルに顧客を奪われたことによりさらに商況が悪化し、撤退を余儀なくされた一方、駅ビル内には来客数の割に飲食店舗が少なく、駅ビル内の客が飲食に際し、一気に「セントポルタ中央町」に流れるようになったことが原因と考えられます。また、このような動きが広がり、駅ビルと既存商店街の住み分けが進めば、隣接という位置関係にある駅ビルと既存商店街とが将来、一体となった大きなショッピングエリアの形成に発展することが期待できます。これが、駅ビルと既存商店街が分断され競合関係にある鹿児島市や長崎市と大分市との大きな違いです。

 

今後の注目すべき動向としては、ファッションビル「フォーラス」が平成31年春に「大分OPA」として再オープンし、1階は「フードマルシェ」、2・3階は「フードマーケット」、4階は「フードホール/レストラン」、4階には屋外テラスも設置される予定で、全館食品関連売場となりイオングループ全体においても最大級の食品館になるといわれています。また、ラグビーワールドカップの大分開催(準々決勝を含め、5試合を開催。準々決勝以上が開催される西日本で唯一の都市が大分市)にあわせ、大分駅前の大分パルコ跡地を大分市が購入し、「祝祭広場」として2019年7月までに整備することが発表されています。いずれも大分市内の一等地につき今後の中心市街地の発展に大きく影響を及ぼすとものと思われます。

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