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地価公示からみえる大分市の地価動向

2019年4月26日

3月19日に発表がありました地価公示の結果を踏まえ、今回は最近の大分市の地価動向に関して、お話ししたいと思います。

緩やかな景気回復と日銀による大幅な金融緩和策により、住宅地、商業地とも地価は上昇傾向にあります。しかし、その内容は異なり、住宅地の地価上昇は多極化・分散化傾向、商業地の地価上昇は依然として二極化・集中化傾向にあることがうかがえます。以下では、それぞれの地域の動向について説明したいと思います。

1.住宅地

大分市の住宅地の地価は+1.6%と昨年の+0.7%から上昇率が拡大しました。大分市の住宅地全体の平均変動率が上昇に転じたのは2年前からで、18年ぶりのことでした。地価上昇は当初、中心市街地周辺の金池・大道など利便性が高い地域に限られていましたが(大分駅周辺では、既に6年前から地価が上昇)、大在・坂ノ市・稙田方面まで区域が広がり、郊外でも中心部の地価上昇率を上回るところも出てきました。特に上昇が目立つのは南大分地区で、1年間で8.3%上昇した地点もあります。中心市街地に近く、店舗や病院が身近にある利便性の高さが地価上昇の大きな原因と考えられます。

2.商業地

大分市の商業地の地価も+1.6%と昨年の+1.0%から上昇率が拡大しています。昨年までの最高価格地点は大分市中央町1丁目(中央通り)の三井住友信託銀行の位置でしたが、今年は大分駅府内中央口広場に面する箇所が最高地点となり、1㎡当たり615,000円(坪当たり約203万円)となっています。大分市の商業地の地価は、2年前、実に25年ぶりに上昇に転じましたが、現在の中心市街地の地価は、バブル期の約10分の1、昭和40年代のレベルに過ぎません。また、長らく低迷が続いていた郊外の幹線沿いの地域も上昇に転じた箇所が多くありますが、依然として中心商業地の上昇率には及びません。したがって、中心商業地とそれ以外の商業地の格差は更に広がる傾向にあります。駅ビル開業以来、駅周辺の利便性が大きく増し、マンション用地の需給が逼迫しているため、その傾向が顕著になっていると考えられます。

(こちらの内容はOITA CITY PRESS 2019年5月号に掲載されています)

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