相続財産ではないが、相続財産扱いされる財産
2019年8月27日
本来は相続財産ではないが、相続税の計算上、相続財産扱いされ、相続税が課税される財産があります。この規定は、相続税の計算をややこしくしていますが、相続を理解する上で非常に大事なことなので、今回はこのことについてお話します。以下ではその代表的なものとその取り扱いについて説明します。
1.生命保険
被相続人が保険料を負担していた場合、被相続人の財産が保険契約を通じて保険金受取人に承継されたと考え、みなし相続財産として相続税の課税対象となります。但し、「500万円×法定相続人の数」は非課税となりますので、生命保険は最も相続税対策に使われる手段の一つです。また、生命保険は保険金受取人固有の財産とされ、遺産分割の対象とならず、相続放棄しても保険金を受け取ることが可能です。
2.被相続人の死亡前3年間で贈与された財産
被相続人が亡くなる3年以内に贈与された財産は、相続税の課税対象になります。110万円の控除枠を使った暦年贈与も例外ではありません。これは、被相続人が相続税を発生させないことを目的として、死亡する直前に相続人に財産を贈与することを防止する規定です。但し、加算された贈与財産に対応する既に支払った贈与税の額は、加算された人の相続税の計算上控除されます。したがって、二重課税となることはありません。
3.相続時精算課税により取得した財産
被相続人から、生前、相続時精算課税(2,500万円の控除枠を利用して不動産等を贈与する手法)の適用を受ける財産を贈与により取得した場合には、その贈与財産の価額(贈与時の価額)を相続財産の価額に加算します。但し、贈与を受けた際に納付した贈与税額は相続税額から控除されます。また、相続放棄しても当該財産は受けとることが可能です。
(こちらの内容はOITA CITY PRESS 2019年9月号に掲載されています)
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