大分市内における地価と世帯数との相関関係について考える
2019年10月31日
大分市内(全46地区)において、この5年間で最も地価が上昇したのは、駅ビル周辺の大道・金池地区で、両地区の平均は+10.0%となっています。この地区は利便性が高く、マンション需要が多いため、世帯数はこの5年間で金池地区が+14.8%(上昇率2位)、大道地区が+7.6%(同14位)と大きく伸びています。 したがって、この地区では、マンション居住世帯の増加に伴うマンション用地の価格高騰が地価上昇の最も大きな要因と考えられます。
次に地価が上昇したのは、宗方・田尻地区で、この5年間で両地区の平均は+6.4%となっています。しかしながら、世帯数は、宗方地区が+2.6%(上昇率31位)、田尻地区が+3.6%(同28位)にとどまっています。この地区では、高齢者が所有する古い団地内の中古住宅を若い世代が購入してリノベーションする案件が多く見受けられます。このような形で世代交代が円滑に進んでいるため、世帯数の増加は中位以下にとどまっているものと考えられます。
一方、この5年間で世帯数が最も増加したのは、明治地区で+16.0%となっています(地価上昇率は+1.7%で全体の16位)。2位は上記のとおり金池地区です。3位以下は松岡、小佐井、坂ノ市、大在西と続き、これら4地区の世帯数は、5年間で10%~14%程度上昇していますが、分譲中の大型団地や未利用地を多く抱える区画整理地区が存し、宅地供給も多いため、地価は上昇に至らず、ほとんどの地区でやや下落しています。
以上より、大分市においては、マンション需要が多い地区では、世帯数の増加と地価上昇に相関関係が認められるものの、宅地供給余力が大きい地区や世代交代が進んでいる地区では、世帯数の増加と地価上昇との相関関係が希薄であることが伺えます。
(こちらの内容はOITA CITY PRESS 2019年11月号に掲載されています)
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