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家族信託という選択(1)

2020年4月30日

皆さんは家族信託という言葉を聞いたことがありますいか?多分、「全く聞いたことがない」もしくは「聞いたことはあるけど詳しい内容はわからない」という方が大半だと思います。実は弁護士をはじめとする士業の人たちでも家族信託について深い知識を持つ人はほんのわずかです。

家族信託を利用することによって、相続や事業承継等に関して発生する様々な問題を解決することができます。したがって、私はもっと多くの方にこの制度を理解してほしいため、これから数回にわり「家族信託」についてお話ししたいと思います。

 

1.信託の意味と信託の種類

「信託」とは、「信じて託す」と書くように、「自分の大切な財産を信頼できる人に託し、自分が決めた目的に沿って大切な人や自分のために運用・管理してもらう」制度です。

信託には、商事信託と民事信託という2つの種類があります。免許を受けて営業として行う信託を商事信託といいます。営業として行う信託ではないものを民事信託​といいます。民事信託のうち、信頼できる家族間で行う信託のことを家族信託といいます。

2007年9月に信託法が改正され、従来まで信託業法の免許を受けた信託銀行、信託会社しか認められていなかった信託が、一般の人でもできるようになりました(それまでは商事信託しかありませんでした)。

なお、家族信託は、一般社団法人家族信託普及協会の登録商標です(法律上はあくまでも民事信託です)。​

 

2.家族信託でできること

家族信託は、新しい財産管理対策と遺産分割の手法です​。家族信託を利用することによって、今まで難題であった①認知症問題、②相続問題、③不動産の共有問題、④事業承継問題等が解決できる場面が多くなります。また、家族信託は生前の遺産分割ともいわれ、遺言によらず、本人が生きている間に死亡後の資産承継先を定めることができます。また、遺言ではできない二次相続、三次相続における資産承継先にも対応することができます。

(こちらとほぼ同様の内容はOITA CITY PRESS 2020年5月号に掲載されています)

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